汗をかくことは体にとっていいこと、と一般的にはいわれています。しかし、それは限度や時と場合などによって、とても困ることの原因にもなります。激しく体を動かしたわけでもないのに大量の汗をかく、決して熱いわけでもないのに手のひらや足の裏に汗をかいている、脇の下から汗がぼたぼたと落ちて止まらない、などといった場合は、汗をかくことはいいこと、などというレベルでなく、単なる汗かきというレベルでもありません。こういった症状を多汗症といい、治療の対象となる病気です。多汗症は手のひら、足の裏、脇の下、額など特定の部分に汗をかき、緊張すると余計に汗をかいてしまうという特徴があります。人口の約0.5%の人が多汗症であるといわれ、治療によりその90%の人が治るといわれています。
激しく動いたわけでも、とても暑いわけでもないのに手のひらに汗をかいてしまう。手のひらにひどく汗をかいているので、触るものが濡れてしまう、恋人と手をつなぐのも気になる、汗ですべって物がうまくつかめない、など手掌(手のひら)の多汗症は本人にとってはとても深刻です。日常生活や仕事に支障をきたすほどの手掌(手のひら)の多汗症はもっと深刻です。手掌(手のひら)の多汗症は手術で治すことができますが、代償性発汗によって他の部分からの汗が増えます。手掌(手のひら)の多汗症の手術をした場合は、背中やお腹、胸、太もも、臀部などの汗が増えます。手のひらの汗が止まっても他の部分の汗が増えるため、今までより不快感を覚えるという例もあるので、手術をする場合は医師とよく相談してから決めましょう。
脇(わき)の多汗症と間違えやすいのがわきが、です。脇(わき)の多汗症とわきがはそもそも違う病気です。脇(わき)の多汗症の汗はエクリン腺という体温調節をする汗腺から発生し、わきがの汗はアポクリン腺という体臭を発生させる働きをする汗腺から出ます。エクリン腺は全身に分布し、多汗症の原因となる汗です。アポクリン腺は脇の下、外陰部などの限られた部分にしか分布せず、独特の臭いを伴います。わきがの手術はアポクリン腺を取り除くものなので、脇(わき)の多汗症は改善されません。では、エクリン腺を取り除くと脇(わき)の多汗症は改善されるのでしょうか?残念ながら、エクリン腺は数も多く、全てを除去することは難しいとされ、また、再生する力も強いため、再発の可能性が強いそうです。
多汗症は治療の必要な病気です。多汗症の予防と対策として病院で治療を行うことでほとんどの多汗症が治るとされています。多汗症というと皮膚科に行く人が多いようですが、現在では主にペインクリニック科や麻酔科、血管外科などで交感神経をアルコールでブロックするという対策、また内視鏡による手術を行うという対策があります。また、多汗症は精神的な異常が原因ではないとされていますが、心身療法によって軽減する場合もあります。カウンセリングを受けるのも多汗症の対策の一つです。ただし、汗を止めるということで、皮膚が乾燥したり、特定の部分の汗を止めることで他の部分の汗の量が多くなる代償性発汗はほとんどの人に生じるとされています。多汗症の予防や対策、治療は自分の多汗症はどの程度の対策が必要なのか、医師と相談のうえよく考慮してから実行しましょう。
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